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| ■農 業 |
農業は、これまで数百年にわたって、カナダ経済の生命力ともいうべき重要部門となってきた。今日も、カナダの対外貿易に大きな役割を果たしている。1999年には農業と農産食品の輸出は217億カナダドルを超過し、世界の農産食品貿易合計額の3.51%を占めた。
カナダは、世界の主要な食糧生産国であり、中でも高品質の穀物、油糧種子、野菜、食肉、そして乳製品は特に有名である。農業技術、肥料、飼料技術、農業機械、経営技術など全てが、カナダの豊かな農畜産業を支える要因になっている。
カナダの農業部門はカナダにおける3番目に大きな雇用者となっており、1999年には全人口の約1.3%、全労働人口の2.8%を占める。40万6,900人のカナダ人に雇用を提供している。このほかに全労働人口の10.6%、約150万人が、食品・飲料加工業、食品小売業、食品サービス業、農産食品関連の諸業界で働いている。総計すると、農産食品部門はカナダの国内総生産(GDP)の約8.5%を担っている。
| 農業用地 |
カナダの国土は、気候、地理、土壌が地域によって千差万別である。国土は世界で2番目に広く、総面積は990万平方キロメートル余。だが農地は、そのうち7%の6,800万ヘクタールにすぎない。この生産性の高い土地は、カナダ南部、米国との国境に沿った幅の狭いベルト地域にある。
長い冬には国土の大半が氷点下になる。この厳しい寒さの下では害虫や病原菌が生存しにくいため、冬の低温がひとつの強力な病害虫抑制要因になっている。
気候条件と土壌のタイプによって、カナダの農地は主として次の4つの地域: 大西洋地方、中央カナダ、平原地方、太平洋地方に分けられる。
| 大西洋地方 |
大西洋地方は、北米で最も品質のよいポテトの産地のひとつである。リンゴやブルーベリーなどの果実も、質のよいものが豊富に採れる。農家は、大半が果実や野菜、飼料作物などの換金作物を育てるほか、肉牛や豚、乳牛も飼育している。近代的な大型加工設備があるのも、この地方の特徴だ。
| 中央カナダ |
オンタリオ州とケベック州のセントローレンス川流域に広がる肥沃な低地は、カナダの最も人口の多い地域である。そこは発達した近代都市と、広々とした豊饒な農地とが隣り合わせに混在している。カナダ有数のトウモロコシの産地であり、また畜産と園芸でも有名である。忘れてならないのは、メープルシロップとハチミツ。昔から農家の大切な副業だった。オンタリオ南部の温暖な気候、溢れる日光と降雨が、ブドウ、サクランボ、モモ、その他のいろいろな果実を実らせる。
カナダ中央部は、人口が集中している先進工業地域であり、世界市場の輸出ルートでもあることから、大手の食品加工工場の大半が集まっている。
| 平原地方 |
平原地方はカナダの農地の80%を擁する。長くて厳しい冬、暑くて晴れの日が多く、雨の少ない夏。こうした気候にもかかわらず、近代農業技術の利用によって平原南部は生産性の高い乾燥地として変身した。わずか60年前には、砂漠のような炎暑と日照りに加えて、強い風が吹き、砂嵐が毎年吹き荒れ、肥沃な表土を剥ぎとっていった。しかしカナダ人は、全く新しい技術を開発して、世界有数の豊かな穀物畑に変えてしまった。この地方で採れる小麦、カラス麦、大麦、ライ麦、キャノーラ菜種、亜麻仁などの穀物生産量は、年間5,960万トンを超える。穀物のほかに、平原内陸部にはカナダで最大級の肉牛・豚・羊飼育場があり、牧場・牧草地の面積は合計2,000万ヘクタールに及んでいる。
| 太平洋地方 |
太平洋地方は、変化に富んだ気候と土壌のおかげで、きわめて多様な家畜と作物を産出している。北東部では、平原地方と似て、穀物、油糧種子のほか、さまざまな根菜や飼料を生産する。内陸中心部では、川の流域や草地などで営まれている牧畜が圧倒的に多い。南部の流域は暑く乾燥した気候により、果樹園やブドウ畑に理想的な土地となっている。この地方の南東部山地一帯では、果樹、飼料、穀物が主な産品である。
一方、温暖で湿度のある太平洋沿岸と島嶼では、種苗場や花卉栽培、温室野菜、各種ベリーの栽培が盛んだ。集約的な畜産、家禽、酪農が加わって、この地方の農食糧部門の経営は安定して力強い。水産品も含めた食品加工部門は大きな売上高を誇り、従業者数も多い。太平洋地域は、輸出入の主要な玄関口である。海外へ出荷される貨物の3割近くが農産物で、大半は平原地方産の穀物と農食糧製品である。
| 穀物と油糧種子 |
小麦は、カナダで一番重要な農作物であり、カナダ最大の農産輸出品でもある。毎年カナダの約1,050万ヘクタールの畑からほぼ2,650万トンの小麦が産出される。そのうち、およそ1,800万トンが輸出されている。
小麦に次いで重要なのが大麦。カナダの粗挽き穀物輸出の主要品目になっている。大麦、カラス麦、トウモロコシは、主として家畜・家禽の飼料に使われている。
カナダの科学者が開発した油糧種子キャノーラからは、サラダや調理、ショートニングやマーガリンに使用される優れた高品質の食用油がとれる。粉砕された種子から油を搾った後に残る高タンパクのキャノーラ・ミールは、家畜・家禽の配合飼料の原料として利用される。キャノーラとキャノーラ製品は、国際市場でますます好評を博している。
| 畜 産 |
カナダでは、肉牛、乳牛、豚を大量に飼育している。
肉牛の飼育頭数は1,120万頭。カナダの肉牛は、肥育の効率性と繁殖力、屠体の品質が高く評価されている。カナダは近年、人工受精や胚移植といった方法で肉牛の品種改良を盛んに進めてきた。
乳牛の飼育頭数は120万頭。そのうち約92%はホルスタイン種である。カナダの乳牛の約90%は、人工的に交配されており、その結果、産乳量が多く、泌乳寿命の長い品種に改良されている。カナダの飼育条件の下で生産される成牛のホルスタイン1頭の平均産乳量は、年間8,878リットルである。
カナダの養豚数は1,200万頭を超える。そのうち約130万頭は繁殖用である。カナダ産豚は、赤肉率、体質の強靭さ、そして全体的な高品質で知られている。
家禽は、人口の集中度に応じて、カナダ全国で飼育されている。カナダの気候条件もあって、飼育はほとんど屋内で行われている。効率的な機械化飼育だから、卵の年間生産量が100万ダースを超える設備を1人で扱うことが出来る。ブロイラーの飼育では、年間35万羽、肉にして640トン分を1人で育てることが出来る。
| 農業機械 |
カナダの農機メーカーは、あらゆる種類の農業機械を供給している。整地用、排水と灌漑、家畜の飼育や牛乳生産、乾燥地農業、穀物の搬送・貯蔵・加工用、あるいは園芸作物や特殊作物の機械に至るまで、多種多様だ。
中でも乾燥地農業用の機械は、大型四輪駆動のトラクターやコンバイン、タバコ収穫機など、世界の先端を行っており、出荷高の6割以上を輸出している。
| 食品加工 |
1999年の飲料とたばこ業界を含めたカナダの農産食品加工部門は、GDPの2.4%を占め、出荷高は上位5部門に入る。カナダの農家28万戸にとって、毎年、140億カナダドル余の作物や家畜、魚を購入してくれる主要な販路でもある。
こうした国産の食品に、輸入するサトウキビや大豆ミール、トロピカルフルーツなどの生鮮食品49億8,000万カナダドル分を加えて原料とし、年間561億カナダドルの加工食品が生産されている。このうち106億8,000万カナダドル分が輸出されている。
| 研究開発 |
研究開発は、世界市場におけるカナダの競争優位を保つ上できわめて重要な役割を果たしている。農産食品分野は10億カナダドルを研究開発に使っている。カナダ農務農産食品省は2000〜2001年度2億6,389万5,695カナダドルを投資した。
科学者らは世界的水準の研究を行い、革新的技術の開発と移転を通じて、カナダの食品・農業部門の長期的競争力を向上させている。
カナダ政府は、主要な農業生態系ごとに研究センターと実験農場からなるネットワークを運営している。各センターは、国家的な重要性をもった専門の研究課題に取り組み、その成果を地元に還元している。
2009-12-08 更新
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