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| ■カナダの教育 |
教育には、個人に自己啓発の機会を与え、かつ、社会に効率よく発展していく上で必要な技能を提供する、という2つの目標がある。カナダの教育制度は、これらの時としてぶつかり合う目標を追求して、調和のとれたアプローチの模索をその基本としている。総合的で多様、かつ誰もが受けられる制度は、教育を重視するカナダ人の信条を反映するものである。
カナダの教育は、10の州、3つの準州それぞれの制度があり、その中に公立学校、"セパレート"(宗派別)学校、私立学校がある。義務教育は6ないし7歳から15ないし16歳まで。この義務を履行できるように、中等教育(secondary education日本の中学・高校に相当)までは全ての公立学校が公的資金で賄われている。ケベック州では、一般教養カレッジや職業カレッジ(両者合わせてCEGEP、「一般教養・職業カレッジ」という)も公的資金に支えられており、最低の登録料しかかからない。その他の中等後教育の大半は有償である。
| 教育は州の管轄 |
他の多くの先進国と異なり、カナダには、連邦全体の教育制度はない。憲法で教育管轄権は州の独占的事項と決められている。各州の教育制度は、大筋では似ているものの、各州に特有の地域、歴史、文化を反映している。選挙で選ばれた大臣を長とする州教育省が、基準を設定し、カリキュラムを決め、学校への補助金を出す。
小学校と中学・高校の管理は、地域の公選教育委員会に任されている。教育委員会は予算を決め、教員を雇用し、待遇についての交渉に応じる。州のガイドラインの範囲内で、学校独自のカリキュラムを作るのも、教育委員会である。
| 広範な役割を担う連邦政府 |
連邦政府は教育に間接的ながら極めて重要な役割を果たしており、中等後教育、労働市場での訓練を財政援助すると同時に、公用二言語の教育、特に第二言語の訓練も財政援助する。また、先住民の教育や軍人とその家族の教育、連邦刑務所の服役者の教育も連邦政府が管轄する。
連邦政府の貢献の代表的なもののひとつが「カナダ育英プラン」で、資金がないために勉学を続けられない3万5,000人以上の学生を援助している。このプログラムはローン保証や、中等後教育のフルタイムの学生の場合は利子補助などを行う。卒業後、返済が困難な場合にも様々な返済オプションがある。
さらに、連邦政府は1998年、カナダ人がより中等後教育の機会を得る事が出来、学生の負債を減らす目的で、25億カナダドルの規模を持つ「カナダ・ミレニアム奨学金」の導入を発表した。このプランは、2000年1月の導入に合わせ、独立団体である「カナダ・ミレニアム奨学金財団」が設立され、2種類の奨学金プログラムにより、毎年10万人以上の学生に援助していく。財政的な援助に値する学生への奨学金は平均3,000カナダドルで、エクセレンス奨学金は中等後教育の一年目に入る学生で、学術的に優れており革新的な追求を目指す指導力のある者に支給される。一人の学生は、最長32ヶ月の期間に財団から最高1万9,200カナダドルまで受け取ることができる。
「カナダ教育貯金補助プログラム(CES)」は、1998年、カナダ人の教育貯金を補助することにより、増大する中等後教育の費用を補うために作成された。その目的は、若いカナダ人が中等後教育を受けやすくすることである。カナダ連邦政府は、児童が17歳に達するまで毎年、登録教育貯金プラン(RESP)の積立金にさらに20%、最高400カナダドルの補助金を提供する。これにより、児童が中等後教育を受ける年齢に達するまでに、合計7,200カナダドルを受け取ることができる。1998年以来、100万人以上のカナダ人がRESPの積立貯金に加えてCESを受け取った。
| 小学校と中学・高等学校 |
現在、カナダでは約500万人の児童・生徒が公立学校に通っている。州によっては6歳で小学校に入学する前、4歳で幼稚園に入ることができる。基礎を総合的に勉強する小学校のカリキュラムには、基本教科として言語、算数、社会、基礎的な芸術、理科がある。
一般的に、高校は、大学進学向けと、あるいはコミュニティ・カレッジや技術専門学校に進んだり、就職に備えるための2系統がある。また、高校の普通課程を修了できない学生のための特別プログラムも用意されている。
大半の州では、学校が独自に試験を行い、評価をつけている。しかし、中等後教育に進むためには、学生は主要教科の卒業試験に受からなければならないとする州もある。こうして、大学に入るには高校のコースをどう選ぶかということと、高校の成績が大切になってくる。大学入学の条件は、州によって異なる。
| その他の学校 |
公立学校とは別の教育を子供に受けさせたいと思う親もいる。そうした場合、私立学校や "セパレート" 学校を選ぶことができる。一部の州の法律では、宗派別のセパレート学校を設立することが認められている。州によっては、そのほとんどがカトリック系で、1995年現在、カナダの公立学校の在校者数の約四分の一を占めるセパレート学校は、幼稚園から中学・高校まで完全な宗派教育になっている。
現在、私立学校には25万人強の学生が在籍しており、宗教や言語、社会的地位や勉学のレベルなどによって、さまざまな教育内容を用意している。
| 教師の教育・訓練 |
カナダの初等教育制度と中等教育制度で働く教師(フルタイム)は、30万人近い。一般に教師の専門教育には、最低4〜5年の勉学を要する(教育学士号を取得するには通常、大学を卒業し、さらに1年間の教職課程を経なければならない)。教員免許は、州の教育省が出す。
| 中等後教育 |
カナダの歴史の大半を通じて、中等後教育とはもっぱら総合大学の教育だったといっても過言ではない。これらの大学は、主として私立で、教会と連携しているものが多かった。しかし1960年代になると、中等後教育の内容を多様化しようという声がわき起こり、また進学率も上がってくるにつれて、公立の、総合大学型でない教育機関が発展した。現在カナダでは、約200の技術専門学校やコミュニティ・カレッジが、約100の総合大学を補完する機能を果たしており、中等教育を修了した学生のうち約100万人が進学している。政府からの多額の助成金のおかげで、学生の払う授業料がカナダの中等後教育費用に占める割合はわずか11%程度に過ぎない。
カナダの大学は、教育と研究の質の高さによって国際的に知られている。マギル大学のワイルダー・ペンフィールド教授による神経学上の画期的発見や、フレデリック・バンティング、C・H・ベスト、J・J・R・マクラウド、J・B・コリップ教授によるトロント大学でのインシュリンの発見などがその例である。大学の全日制コース在学者数は、個々の機関によって1,000人未満から3万5,000人以上までばらつきがあるものの、カナダ全体で50万人を超える。大学への女性の進学率は目覚ましく、女性が取得する学士号は全体の半数以上にのぼる。
| カナダの学校制度:国の財産 |
教育に対するカナダ人の信念は、広く深く一般に浸透しており、しかもこの信念は、多額の財政援助に反映されている。国民一人あたりの公教育への支出額では、カナダは世界でもトップクラスに位置する。カナダがこのような高水準の教育投資を維持しているのは、それが健全な見返りをもたらし続けているからである。ほとんどどこででも、教育の質は生活の質に直結する。カナダでは、高い教育水準(16歳以上の人口の半数近くが、何らかの中等後教育を受けている)が、国の良好な生活水準、機会の増加、そして学業の成就を奨励し、有利に追求する国としての評判に大きな貢献をしているとされている。
2009-12-08 更新
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