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カナダについて
■交通輸送

カナダの歴史は、交通輸送の歴史と深く結びついている。この国の景観がもたらす様々な地勢的障害を理解するには、地図を見れば明らかである。交通輸送は、カナダの国土との関係において常にきわめて重要な役割を果たしてきたし、これからもそうあり続けるであろう。

カナダの人口密度は1平方キロメートル当たり約3人で、3,000万の人々が、面積1,000万平方キロメートル、大西洋から太平洋まで東西5,500キロメートルの間に居住している。カナダとカナダ人が必要とするのは、航空、海運、道路、鉄道の輸送方式を最も適切に組み合わせた、安全で効率的かつ持続可能な交通輸送である。


航空輸送

カナダの航空産業は、長年かけて劇的な発展を遂げた。2000年の商用機の年間乗降旅客数は史上最高の8,500万人を超えた。また、1970年から96年までの間に、登録航空機数は147%増加し、2000年には2万8,242機に達した。

カナダは世界で最も優れた航空安全記録を保持する国のひとつである。過去25年間で航空事故数は着実に減少し、2000年にはカナダの登録航空機の事故は過去最低の数を記録した。

カナダの国内線には、エア・カナダとエア・カナダの地域子会社、ウエストジェット社、カナダ3000社、およびその他の独立系航空会社がジェット機とプロペラ機を使用して運行している。エア・カナダが最大の航空会社であるが、新旧の航空会社による競争は激しくなっており、国内航路の選択肢は増え続けている。1999年12月には、カナダの中小国内航空会社が全国内便の18%の座席を供給し、2000年末には28%になる見込みである。

1997年には、営業免許をもつ国内航空会社約1,512社が、カナダ全土で定期便、チャーター便を運行し、現在885人の航空操縦士免許保持者がサービスを提供している。カナダと各国間の二国間協定に基づいて、70カ国との間で国際定期便が行き交っている。

1994年以来、カナダの航空輸送システムの近代化の基礎を据えたのは、連邦政府による国家空港政策である。この政策は、地元市場の実状を把握し、厳重な安全基準を守りながら企業のように自由に空港を経営できる地元の団体に空港の移管を許可するというもので、2001年2月28日現在、136の指定空港のうち、117空港が移管された。事実、現在カナダの全民間航空会社の98%が、移管された空港施設を利用している。

1996年、カナダの航行システムは独立非営利公社NAVカナダに移管された。


水上輸送

カナダの海岸線(沿岸諸島を除く)は全長5万9,509キロ、加えて内陸水路が3,700キロ以上ある。セントローレンス湾からスペリオル湖西端まで約3,700キロにわたって延びているセントローレンス水路は、世界最大級の内陸水路である。

水上運輸の安全性も長年にわたり顕著に改善している。2000年の水上事故は25年ぶりの低水準だった。カナダ政府は、カナダの水路を運行するすべての船舶が基準に合うように法律や規制を強化し、安全を促進している。

水上輸送はカナダの運輸において大きな役割を担っている。水上輸送部門の国内外貨物取扱量は1999年3.34億トンを超え、1998年には25億カナダドル超の収入と3万7,000人以上の直接雇用を生み出している。1959年に水路が開通して以来、20億トン以上の貨物がカナダとアメリカ及び他の約50カ国の間で水上輸送された。現在、ウェランド水路とモントリオール・オンタリオ湖区間で年間約5,000万トンの貨物を取り扱っている。

1998年の初めから、カナダ政府は公共の港とセントローレンス水路の民営化を始めた。これにより、もっとも施設に詳しい地元非営利団体に所有権が移管され、水上運輸分野において競争力を維持するための重要な要素である運営コスト削減と迅速な経営上の意思決定が可能になった。


陸上輸送

カナダは、米国を除いて他のどの国よりも一人当たりの自動車保有率が高い国であり、少なくとも2人に1人が自動車を持っている。高速道路の交通量は倍増したが、過去25年間に交通事故による死亡者の数は半減している。

現在、カナダの道路は高速道路も含め、全長90万キロを超え、高速道路は全長2万5,000キロを超える。また、カナダ大陸横断道路はカナダが誇る世界最長の高速道路であり、大トロント地域を貫く高速道路401号線は、カリフォルニアのインターステート5号線と並ぶ世界で最も交通量の多い高速道路である。

カナダの道路や通りには4万8,000以上の橋がある。そのうち2万5,000は州・準州の高速道路網、2万2,000は市町村の道路にあり、700はカナダ政府の管轄下にある。

もっとも有名なカナダの橋は、おそらくプリンス・エドワード・アイランド州のボーデン-カールトンとニュー・ブランズウィック州のケープ・ジュリマンを結ぶ12.9キロメートルのコンフェデレーション・ブリッジだろう。1997年5月31日に開通したこの橋は、氷に覆われた海を跨ぐ世界で最も長い径間をもつ。コンフェデレーション・ブリッジはストレイト・クロッシング・ディベロップメント社とその子会社ストレイト・クロッシング・ブリッジ社(SCBL)という民間企業によって管理運営されている。

道路は、貨物輸送にもよく利用されている。1999年のトラック業界の収入とサービス(賃貸、私用、宅配便を含む)額は約430億カナダドルであった。2000年には、60万台を超える4.5トン以上の大型トラックが登録された。

市内運行バスは最も広範囲に乗客輸送サービスを提供している公共交通機関だ。1999年には約1,300万人の乗客が3,000万台以上の長距離バス、スクールバス、定期市内運行バスを利用した。

技術は、カナダの高速道路システムにおいてますます重要な役割を担いつつある。例えば、米国との国境を一時停止せずに通過できる特殊機器を搭載したトラックの実現可能性をテストする試験的プロジェクトが実施されている。これにより節約できる時間は、運輸業者、とりわけ生鮮食料品の運搬業者にとり格段の違いをもたらす可能性がある。


鉄道輸送

鉄道は、カナダの歴史を形成し、国家をひとつにまとめるために大きな役割を果たし、現在でもカナダの輸送網にとり重要な役割を果たし続けている。1999年の貨物取扱量は、鉄道部門だけで3.1億トンに達した。

鉄道部門での安全性も改善され続けている。鉄道事故の発生率と踏切での死亡者数もこの10年以上の間、最低水準に達した。

カナダの鉄道貨物サービスのほとんどを運営しているのは、カナダ国有鉄道(CN)とカナダ太平洋鉄道(CP)であるが、その他のカナダの鉄道会社約78社が運行する路線は、総延長約5万キロメートルに及ぶ。これらの鉄道会社が管理する割合は1996年以降顕著に増加しており、現在ではカナダの鉄道網の33%以上を管理している。

旅客輸送は、連邦政府の公社VIA鉄道が行っている。2000年には約420万人がVIA鉄道と地域および近距離鉄道を使って旅行した。


技 術

1962年、カナダはアルエット1号を打ち上げて、世界で3番目の衛星保有国となった。以来、カナダは米国のスペースシャトル計画用に設計され、目下利用されているカナダーム(宇宙船に搭載されたロボット・アーム)などの開発によって、航空宇宙技術での国際的な評価を得てきた。

カナダはまた、交通輸送技術の領域全般に改良を加え続けており、新型コミューター航空機(ターボプロップおよびターボファン)や、湖から10秒で6.6トンの水をすくい上げ、森林の火災現場に正確に落とせるユニークな航空機などが開発されている。より安全な材木運搬用トラックや航空機の氷結防止調節器に関する研究も行われている。

また、代替燃料源の開発においても世界をリードしている。例えば、バラード社が開発した燃料電池は、お湯以外の副生成物を一切出さずに、未来の自動車に動力を供給する。目下、自動車産業はこの新しいベンチャー事業に数億カナダドルの投資を行っている。同様に革新的なのが、ディーゼル導点火により天然ガスで走行する「クリーンエア・トラック」である。このトラックは、通常のトラックに比べ、大気汚染の原因となる副生成物の排出量が85%少ない。

カナダでは、1958年に導入された世界で最初のコンピューター制御の交通信号システムを含むいくつかの高度道路交通システム(ITS)が始動している。それ以来、カナダはオンタリオ州ハイウェイ407号線における自動料金収受システム、貨物輸送管理システム、旅客情報システム、商用車両オペレーション・システム、北アメリカ自由貿易圏内での物流を促進する国境横断イニシアティブを開発し導入している。


持続可能性

交通輸送は常にカナダとカナダ経済の伸長を左右する重要なものだった。また、それはカナダの環境保護への影響において益々重要になってきている。カナダが排出する地球温暖化ガスの約25%は交通輸送によるもので、大都市の大気汚染、スモッグ、交通渋滞を引き起こしている。

2000年10月、連邦・州・準州政府の環境・エネルギー大臣は、気候変動に関する国家実施戦略と最初の国家ビジネス・プランを発表した。このビジネス・プランの一部として、カナダ政府が作成した気候変動に関するアクション・プラン2000は、交通輸送に重点を置き、都市交通の改善のために5つの新しいイニシアティブを打ち出している。新しい車両燃料の効率化、地球温暖化ガスを発生する燃料の抑制、物流システムの効率改善などである。

環境にやさしいカナダの交通輸送システムの確立は、国民の行動の変化に大きく左右される。それは、国民が自ら認識を高め、環境に有害な交通輸送の影響を減らし、生活の質を向上させるために個人が取ることができる具体的な行動と選択を促進することによって可能になる。


2009-12-08 更新


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