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経済/ビジネス
■カナダ経済と日加経済関係

カナダ経済の規模

2006年のカナダのGDP(国内総生産)は1兆4,393億カナダドル(1カナダドル=115円で換算して166兆円)で、日本のGDPと比較すると約3分の1である。世界の中では第8位の経済規模であり、OECD諸国全体のGDPの3.4%を占めている。州別の構成をみると、オンタリオ州が全体の39%、ケベック州が20%を占め、以下、西部のアルバータ州、ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)が16%、12%で続いている。一人当たりのGDPの水準も高く、カナダは世界で最も裕福な国の一つといえる。


産業別構成

産業別就業構成をみると、カナダ国民の約4分の3がサービス産業に従事し、産業別GDPの構成では、サービス産業が72%に達していて、他の先進諸国と同様に、経済のサービス化が顕著である。サービス産業群の中では、小売業の構成比が最大となっているが、近年急速に成長しているのは金融サービス、不動産、通信などのビジネス・サービス産業である。このほか、主要サービス産業には教育・保健、ITサービス、娯楽、観光産業などが含まれている。

製造業のGDP構成比は16%で、G8など他の先進諸国と比べると相対的に小さい。これは、今日のカナダ経済が、他の先進国と異なり、第一次産業 ⇒ 第二次産業 ⇒ 第三次産業という産業の一般的な発展過程を辿らないで形成されたことと無縁ではなさそうである。カナダ経済にとって最も重要な製造業は、オンタリオ州に集積する自動車産業であり、米系、日系企業の工場や自国の多くの部品工場から形成されている。全般的に、カナダの製造業の多くは米系企業の工場から成っており、そのことがカナダの懸念にもなっている。ブルーカラー的仕事は多く提供されるが、研究開発が米国本社で行われたり、役員のポストも本社に限定される場合が多いからである。

上述したように、GDPの構成比でみるとサービス業や製造業がカナダ経済の太宗を占めているが、農林水産業や石油生産など鉱業もカナダ経済の中で重要な役割を担っている点も見逃されてはならないし、その事実こそがカナダ経済に特徴的である。カナダは小麦など農産物の分野で世界有数の供給国であり、エネルギーに関しては、無尽蔵といわれるアルバータ州のタールサンドにより、カナダは石油埋蔵量で世界第2位で、エネルギーの純輸出国である。尚、ケベック州、BC州を中心に水力発電量も豊富でかつ廉価であり、アルミ精錬業などの礎となっている。


貿易・投資

カナダの貿易体制は開放的であり、国際貿易もカナダ経済の中で重要な役割を果たしている。総輸出入額(通関ベース)の対GDP比は56%。国別輸出入をみると、カナダの最大の貿易パートナーは隣国アメリカで、2006年のカナダの総輸出入額に占めるアメリカの割合は各々82%、55%である。こうした状況は直接投資についてもほぼ同じである。2006年末時点のカナダの対米直接投資残高は、カナダの海外直接投資残高計の43%、アメリカからの対加直接投資残高は、海外からの対加直接投資残高計の61%に達している。北米自由貿易協定(NAFTA)の下、カナダ経済とアメリカ経済の一体化は一段と進展している。

なおカナダの経常収支は恒常的に赤字を記録していたが、1999年に黒字に転じて以来、黒字基調を維持している。


連邦政府の経済政策

連邦政府財政収支は、1970年代以降赤字が恒常化し1990年代初頭には対GDP比で5%を超えるほど危機的状況に陥ったが、その後は、財政再建努力が実を結び急速に改善している。連邦政府は1997年度(1997年4月〜1998年3月)に均衡財政を回復し、その後2005年度まで9年続けて財政黒字を維持している(2006年度も黒字の見込み)。その結果、連邦政府累積債務残高の対GDP比も、1995年度の68.4% から2005年度35.1%に低下している。

2006年1月に発足したハーパー保守党政権は、それまでの自由党政権の財政再建・健全路線を原則踏襲、毎年30億カナダドルの累積赤字削減を目指し、2012年度までに累積債務残高の対GDP比を25%まで引き下げる中期目標を掲げている。その一方で、減税を政治腐敗防止、犯罪対策、育児支援、保健と並ぶ「重点5分野」のひとつとして捉え、2006年7月にGST(商品サービス税)を7%から6%に引き下げた。

貿易依存度の高いカナダは、WTOなど多国間の枠組みでの自由化を促進する一方、地域レベルや二国間のFTA(貿易自由協定)締結に積極的である。1994年にそれまでの米加自由貿易協定を発展、発効させたNAFTAを初め、イスラエル、チリ、コスタリカなどと二国間自由貿易協定を締結し、米州自由貿易地域(FTAA)構想に参画したり、中米四カ国(エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア)、シンガポール及び韓国とFTA交渉を現在進めている。


金融政策

カナダ中央銀行は、翌日物金利の誘導目標を政策金利として金融の舵取りを行い、その上限が公定歩合(2007年7月10日現在4.75%)となっている。インフレ目標を採用し、国内経済の需給バランスや為替相場(主にカナダドルの対米ドルレート)の動向に配慮しながら、消費者物価を1〜3%の上昇率に収めることに金融政策の主眼を置いている。


日加貿易動向

カナダ統計局によると、輸出入を合わせた双方向の貿易額でみて、日本は、長い間アメリカに次ぐカナダの貿易相手国となっていたが、2003年に躍進著しい中国が日本を凌駕し、現在では日本はカナダの第3位の貿易相手国となっている。輸出・輸入別にみると、日本はカナダの第2位の輸出市場、第4位の輸入先となっている。2006年のカナダの対日輸出額は92億カナダドルでカナダの総輸出額の2.2%に相当し、対日輸入額は153億カナダドルでカナダの総輸入額の3.9%を占めていた。隣国アメリカを除くと、カナダの総輸出に占める日本のシェアは12.4%、総輸入の8.6%に上り、カナダにとって、日本が依然として重要な貿易パートナーであることが理解される。

カナダの対日輸出構成をみると、木材・パルプ、菜種などの原材料、肉類、魚介類、小麦などの食料品や石炭、銅鉱などの鉱物性資源が上位を占める。しかし、近年、輸出額では上記品目には及ばないものの、中小型航空機、通信機器、コンピュータ関連機器など高付加価値の工業製品類の伸びが目立ち、カナダの輸出構成が徐々に変化する様子が伺える。他方、カナダの対日輸入品目は自動車、機械・機器に偏り、これらの輸入品が対日輸入総額の85%超を占める。特に、日系メーカーのカナダ進出を映し、自動車・同部品の輸入構成比が大きい。

日本の財務省統計によると、2006年の日本の対加輸出額は1.16兆円、対加輸入額は1.12兆円でほぼ均衡している。カナダは日本の第13位の輸出市場であり、第14位の輸入先である。


日加間の投資動向

カナダ統計局によると、2006 年末時点のカナダの対日直接投資残高は49億カナダドルと低水準で、カナダの海外直接投資残高全体の0.9%にとどまっている。日本の対加直接投資残高は113億カナダドルで、海外からのカナダへの直接投資残高全体の2.5%を占めている。国別では、日本は6番目に大きい投資国である。

日本の対加直接投資を産業別にみると、90年代以降に積極的に投資を行った機械・輸送機器や金融・保険の構成比が高く、それぞれ約50%、21%となっている。80年代中頃までは、対加直接投資の中心を担ったのはエネルギー・金属鉱業であったが、現在、その構成比は9%に後退している。(このパラグラフの記述は2005年の統計に基づいている)

日本側の統計(日本銀行、財務省)によると、2006 年末時点でカナダは9番目に大きい対日直接投資国であり、海外からの対日直接投資残高の2.1%を占めている。産業別では、製造業部門で機械、非製造業部門で商業、金融・保険業などへの投資が多くみられる。

証券投資では、日本の外国為替管理法(外為法)が「原則自由」に改正された1980年以降、日本の対加投資額は急速に増加した … 1980年末の20億カナダドルから1990年末には441億カナダドルに膨らみ、92年には500億カナダドルを突破した(カナダ統計局)。しかし、その後は日本経済の「バブル崩壊」、機関投資家の海外投資引き揚げに影響されて漸減傾向を辿り、2006年末の同投資残高は284億カナダドルに縮小している。それでも非居住者によるカナダ証券投資全体の5.3%を占めている。日本の対加証券投資の特徴は債券投資額が大きいことで、債券投資に限ると、日本の構成比は7.0%となる。

逆に、2006年末のカナダの対日証券投資は185億カナダドルで、うち株式投資が155億カナダドルを占めている。


日加経済枠組み

2005年11月の日加首脳会談において小泉、マーティン両前首相により署名された「日加経済枠組み」文書では、投資、資源・エネルギー、観光促進、気候変動、社会保障協定、税関協力など15の優先的協力分野を特定し、両国は経済関係の更なる強化を目指すことを謳っている。これに沿って日加独占禁止協力協定の発効、日加社会保障協定の締結などすでに進展がみられるが、両国は二国間の貿易・投資やその他経済協力案件の促進のため一年間の共同研究を行うことで合意し、現在そのための共同研究が実施されている。



日加貿易(2007年1〜12月)


日加貿易(2007年1〜12月)


日加貿易の推移(1995〜2007)


2009-12-08 更新


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